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小規模ビルをリノベーションした事例を紹介

築年数が経過した小規模ビルでも、建物の特徴や立地を生かして改修することで、オフィスやテナントビル、店舗などとして新たに活用できる場合があります。限られた床面積だからこそ、各階の役割や動線を整理し、建物全体をコンパクトに使い切る視点が重要です。

ここでは、小規模なビルの特徴を生かして再生したリノベーション事例を紹介します。あわせて、改修を検討する際のポイントや注意点についても解説します。

小規模ビルのリノベ図解画像
目次

小規模ビルをリノベーションした事例

築40年の5階建てビルを一棟貸しオフィスへ再生

小規模ビルを一棟貸しオフィスへリノベーションしたgran+ JIMBOCHO
引用元HP:LOOPLACE
https://looplace.co.jp/projects/granjimbocho/

千代田区神保町にある「gran+ JIMBOCHO」は、かつて出版社として使われていた築40年の5階建てビルを再生した事例です。建物は鉄筋コンクリート造で、1983年竣工。リノベーションは2022年に完成しています。

1フロアの面積が限られ、エレベーターもない建物でしたが、その条件を弱点として隠すのではなく、一棟を自由に使える小規模オフィスとして特徴を打ち出しました。2階を来客用、3・4階を執務スペース、5階をプライベートラウンジとするなど、階ごとに役割を分けています。

階段にはアートペイントを施し、上下階の移動そのものを楽しめるように工夫。外観も大きな窓や既存のレンガ調タイルを生かしながら、路地に対して存在感を持たせるデザインへと更新しています。

築39年のビルを店舗・共同住宅の複合施設へ

築39年の小規模ビルを店舗と共同住宅の複合施設へ改修した事例
引用元HP:ミサワリフォーム
https://www.misawa-reform.co.jp/contents/hojin/building/post-22109/

東京都豊島区のSビルでは、築39年、401㎡の建物を改修し、1階の住居部分を店舗へ用途変更しています。配管や電気設備も更新し、共同住宅だけだった建物を、店舗と共同住宅が入る複合施設へと再生しました。

1階にはコーヒーショップを誘致し、街に対して閉じた建物から、人が立ち寄れる場所へと変えています。上階では既存のレンガタイルなどを生かしながら住居部分を整備し、建物全体を壊して作り直すのではなく、残せる部分を活用しながら用途を組み替えている点が特徴です。

小規模ビルでは、1階の使い方が建物全体の印象を左右することがあります。道路に面したフロアを店舗や交流スペースとして活用することで、外から見た印象を変える方法も考えられます。

築58年の病院兼住宅をテナントビルへ再生

築58年の病院兼住宅をテナントビルへリノベーションした事例
引用元HP:一般社団法人 リノベーション協議会
https://www.renovation.or.jp/app/examples/4641

築58年、延床面積390.33㎡の鉄筋コンクリート造の建物を、カフェやアパレルショップ、デザイン事務所などが入るテナントビルへ再生した事例です。もともとは病院と住宅として使われており、1・2階には検査室や治療室、3階には和室や洋室がありました。

改修では、細かく分かれていた室内をスケルトン化し、階段の位置を生かしながら各フロアをテナント空間として再構成。外観や設備も更新し、内装はテナント側がそれぞれ計画できる状態で募集しています。

小さく区切られていた既存の間取りを整理し、借り手が自由に使える余白をつくったことで、カフェや物販、事務所など異なる用途を受け入れられる建物へと変わりました。

小規模ビルの再生では
建物の特徴を見極めることが重要

小規模ビルは、大規模なオフィスビルと比べて面積や設備に制約がある一方、建物全体をひとつのコンセプトでまとめやすいという特徴があります。

「広くすること」だけを目指すのではなく、階ごとの役割、1階の見せ方、屋上や共用部の使い方などを整理し、その建物だからできる使い方を見つけることが重要です。

小規模ビルをリノベーションするメリット

小規模ビルでは、限られた面積をどのように使うかが建物の価値を左右します。リノベーションによって、現在のテナントニーズや周辺環境に合わせて使い方を見直せます。

一棟全体のコンセプトをつくりやすい

フロア数や床面積が比較的コンパクトなビルでは、各階の役割をまとめて考えやすくなります。執務スペース、来客スペース、ラウンジなどを階ごとに分けたり、一棟貸しのオフィスとして計画したりする方法があります。

建物全体をひとつの空間として考えられるため、テナントごとに区切って貸すだけではない活用方法も検討できます。

小規模ビルでも一棟全体の使い方を考える際は、規模の異なる改修事例と見比べると、用途の決め方を整理しやすくなります。

建物の個性を差別化につなげられる

築古の小規模ビルには、レンガ調の外壁、独特の階段、天井高、路地に面した立地など、新築にはない特徴が残っていることがあります。

こうした要素をすべて隠すのではなく、残せる部分をデザインに取り込むことで、その建物ならではの雰囲気をつくれます。周辺の一般的な賃貸オフィスと異なる印象を持たせたい場合にも有効です。

必要な部分から段階的に改修しやすい

建物の状態や予算によっては、一度にすべてを改修するのではなく、設備、1階、共用部、空室フロアなど、優先順位を決めて改修する方法もあります。

ザイマックス総研が紹介する中小規模ビルの事例でも、電気容量や給排水管など、テナント利用に直結する設備を優先して見直す取り組みが紹介されています。

見た目だけでなく、入居後に支障が出やすい設備から優先順位をつけることが、限られた投資を有効に使うポイントです。

小規模ビルで見直したい主な場所

1階・エントランス

小規模ビルでは、1階やエントランスが建物全体の印象を決めやすい場所です。暗いエントランスや閉鎖的な外観を見直し、店舗やラウンジなど外から活動が見える用途を配置すると、街に対する印象も変わります。

参照元:テナワン公式サイト(https://tenawan.jp/business-casestudy/small-building-renovation)

階段・縦動線

エレベーターがないビルや、各階の面積が小さいビルでは、階段の使いやすさが重要です。照明や仕上げを変えるだけでなく、各階の用途を工夫して移動回数を抑えることも考えられます。

小規模ビルでは「移動しにくさ」を設備だけで解決しようとせず、フロア構成から見直すという考え方も必要です。

電気・給排水などの設備

築年数が経過したビルでは、現在のオフィスや店舗に必要な電気容量を確保できない場合があります。また、給排水管の老朽化が進んでいる可能性もあります。

内装を新しくしても、入居後に電気容量や水回りの問題が生じれば使い勝手に影響します。改修前に設備の状態を確認し、必要な更新範囲を整理しましょう。

設備更新を含む工事では、内装費だけで予算を決めず、工事費の考え方も押さえておきましょう。

空室フロア・屋上

すべてのフロアを同じ用途にする必要はありません。空室フロアをシェアオフィスや会議スペースへ変えたり、条件が合えば屋上を共用スペースとして活用したりする方法もあります。

使われていない場所を見つけ、建物全体の付加価値につながる用途へ変えられないか検討してみましょう。

小規模ビルをリノベーションする際の注意点

見た目だけで工事範囲を決めない

築古ビルでは、内装や外観以上に、電気・給排水・空調などの設備更新が重要になることがあります。設備工事は完成後に見えにくい部分ですが、テナントが快適に使い続けるためには欠かせません。

デザインを決める前に建物調査を行い、必要な設備工事を把握することが大切です。

用途変更の可否を確認する

事務所を店舗や住宅へ変えるなど、現在とは異なる用途で利用する場合は、建築基準法や消防法などに関する確認が必要になることがあります。

用途によって避難経路や防火設備などの要件も異なるため、活用方法を決める段階から建築士などの専門家へ相談しましょう。

狭さを無理に隠さない

床面積が限られている建物を、広いオフィスと同じ考え方で改修すると、そのビルらしさが失われることがあります。

一棟貸しにする、階ごとに用途を分ける、1階だけ街に開くなど、小規模であることを前提に使い方を組み立てることが重要です。

改修後のテナント像まで考える

どのような企業や店舗に入居してほしいのかによって、必要な設備や内装は変わります。幅広いテナントに対応するためスケルトンで貸す方法もあれば、家具まで整えたセットアップオフィスとして貸す方法もあります。

改修工事だけで完結させず、募集条件や運営方法まで含めて計画しましょう。

オフィスとして貸し出す構想があるなら、入居時に使いやすい状態まで整えた事例も参考になります。

参照元:テナワン公式サイト(https://tenawan.jp/info/blog/p011792)

小規模ビルのリノベーションは建物ごとの強みを生かして考える

小規模ビルの再生では、大規模ビルと同じ設備や広さを目指す必要はありません。事例のように、一棟貸しオフィスとして特徴を出したり、1階を店舗へ変えたり、細かく分かれていた室内をテナント向けに再構成したりする方法があります。

一方で、築古ビルでは設備や構造、法令面の確認も欠かせません。見た目だけを新しくするのではなく、今後どのように使うのかを考えたうえで、必要な工事を整理することが大切です。

限られた面積を弱点として捉えるのではなく、その建物ならではの使い方を見つけることが、小規模ビルを再生する第一歩になります。

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