築年数が経過し、競争力を失ったオフィスビルをリノベーションする動きが広まっています。建て替えよりも費用や工期をかけずに、建物に新たな価値を付与して収益性を向上させることができるからです。
ここでは、オフィスビルから別な用途を持つビルにリノベーションした事例をご紹介します。その事例も今ある物件の特徴を活かしてリノベーションしています。ぜひ参考にしてください。
セットアップオフィスとは、すでに内装工事が完了している状態のオフィスのこと。入居する際に一から内装工事を行わなくてはならない一般的なオフィスと違い、コストや手間を抑えて入居することが可能です。
セットアップオフィスのメリットは、入居者が決まりやすいこと、そして、家賃を高く設定しやすいことです。
似たような形態に居抜きオフィスがありますが、居抜きオフィスとは、前の入居者が作った空間をそのまま引き継いで使うオフィスのことです。セットアップオフィスと同様、工事費用やインテリア代などをかけずに入居できますが、内装や家具は新品ではありません。もしインテリアや内装が気に入らない・使いづらい場合は、入居者負担で追加購入・廃棄・リフォームをすることになります。
ここでは、空きビルをセットアップオフィスにリノベーションした事例を紹介します。
長期空室物件をセットアップオフィスにリノベーションした事例です。換気設備の増設とエアコンを交換し、クリーンなオフィス環境を実現。74㎡(約22坪)のワーキングスペースは、入居企業がレイアウトを自由に組みやすい空間になっています。
ラウンジはガラスパーテーションで区切られているため、圧迫感を感じません。トイレも増設し、男女別の清潔なプライベート空間に。エントランスからワーキングスペースにかけて照明の色温度を変えることで、空間に奥行きを持たせています。複数の申し込みがあり、施工後1ヶ月以内に成約となりました。
西日暮里駅近くにある地上7階建て、1991年竣工のビルを全面リノベーションしたセットアップオフィスです。リノベーション前は1階の飲食店以外のフロアがほぼ空室でした。1フロア100㎡ほどの広さで、10名前後のベンチャー企業やスタートアップ企業の利用を想定しています。
「LIVE、WORK、CREATE」をコンセプトに、デニム柄のカーペットやクラフト感のある素材を採用。街の特徴と想定する入居企業に合わせたオフィスにリノベーションしています。屋上は、入居者が自由に使えるルーフトップテラスとして整備されました。
築40年を経過した銀座槙町ビル。バリューアッププロジェクトの一環で、ビルのファサード(外観)をリニューアルした後、3階・9階をセットアップオフィスとしてリニューアルしました。ファサードと同様、ブロンズの色味や素材を使うことで、統一感を持たせています。
3階はオフィス什器あり、9階は什器なしとし、照明計画もフロアごとに変更。ドライパントリーや打合せブース、WEBミーティングブース、窓向きカウンターなどを設け、入居者の多様な働き方に対応できる空間にしています。
「住まうように働く空間」をコンセプトにしたセットアップオフィスの新設事例です。カウンター席やソファー席、オフィスデスク席、カジュアルにコミュニケーションのとれるカフェスペースなど、用途や気分に合わせて働く場所を選べる空間になっています。
木目や石目、左官の要素を取り入れることで、親しみやすさや温かみを演出。受付スペースや会議室まで含め、統一感のあるデザインに仕上げています。
収益が落ちているビルは思い切ってカフェやレストラン、バーなどの飲食店にリノベーションするのも一つの手段です。テナントとして飲食店を誘致することで地域の活性化にもつながり、安定した賃料収入を得ることができます。
特に飲食店は集客につながる立地の良さが重要。築年数が古くとも、立地的に集客につながりやすいようであれば思い切ってリノベーション会社に相談してみてはいかがでしょうか。
ここでは、実際に空きビルを飲食店にリノベーションした事例を紹介。どのように生まれ変わらせることができたのか、事例を参考にしてください。
1960年築のレトロビルを街に開かれた複合テナントビルに再生した事例です。元々は事務所兼倉庫兼住居の自社ビルでしたが、電気・ガス・給排水などのインフラ設備や外壁、屋上の防水層を更新。「働く・食う・寝る・集まる・つくる」をコンセプトとした建物に生まれ変わりました。
1階の一部を飲食店舗、2階を自社オフィスと賃貸住居、3階を賃貸オフィス、4階をプライベートサロンとして活用。3階には10㎡から94㎡まで大小さまざまなオフィス区画を用意しています。
入居者が打ち合わせなどに利用できるラウンジや、自由に使える屋上も整備。既存の内装をできる限り再利用しながら、設備や共用部まで含めてビルをリニューアルしています。
空きビルを賃貸住宅にリノベーションすることによって、入居者を募集しやすくなるのはメリットです。空室のままにしておくと建物が老朽化しやすく、なおかつ不審者や野良動物が住み着いてしまう危険があります。
しかし、賃貸物件にリノベーションすることで、これらのリスクをなくせるのもメリットです。初期のリノベーション費用や修繕費用は掛かりますが、入居者が決まれば毎月家賃収入が得られるので、ローンの返済には自己資金を使わなくてもよいのもポイントです。
築25年、7階建てのオフィスビルの3~7階が空室となっていた事例です。稼働している1・2階はそのままオフィスとし、3~7階を賃貸住宅へリノベーションしました。各階は85㎡で、工事期間は3ヶ月です。
インテリアブランド「IDEE(イデー)」とコラボし、デザインや設計はイデーが担当。3階は「家具の家」、4~7階は「気配を感じる家」という2つのコンセプトで、元オフィスの広さを活かした住空間に変身しました。
3階は住宅としてだけでなくSOHOとしても使える間取りとし、4~7階は浴室やトイレ以外を大きく区切らない空間に。完工から1週間で全室満室となりました。
空きビルは、そのままビルとして使うのではなく住居にリノベーションして住まいとして活用することができます。ビル丸ごと一棟を住まいにする以外にも、一部だけを住まいにして他はテナントに貸して家賃収入を得るという方法もあるでしょう。立地が良く利便性の高い場所に住めるのは、大きなメリットです。
ただしビルならではの注意点もあるため、リノベーションする際は注意点も踏まえて検討しましょう。ここでは実際に空きビルを住居にリノベーションした事例を紹介しています。ビルを住居にするメリットや注意点を踏まえ、チェックしてみてください。
1964年築の3階建ての小さなビルを住居としてよみがえらせた事例です。施工面積は93㎡。1階と2階の一部をテナント貸しとし、2階の残り部分と3階を住居として利用しています。
3階は一面をリビングダイニングとして活用し、ホワイトとモルタルを基調とした空間に変身。天井をスケルトンにすることで、ビルならではの天井の高さを活かした開放感ある部屋になりました。
住居とテナントを一棟の中に組み合わせているのも特徴です。公式事例では、1階にセレクトショップ、2階に飲食店が入居していると紹介されています。
オフィスビルのリノベーションでは、内装を新しくするだけでなく、建物の状態や今後の使い方に合わせて改修範囲を考えることが大切です。既存の事例からも、外装や設備、共用部、入居する企業を想定した空間づくりなど、さまざまな方法があることがわかります。
ビルリフォームやビルリニューアルでは、執務室の床や壁、レイアウトだけが改修対象とは限りません。外壁やエントランス、屋上、空調、給排水、電気など、建物全体を確認したうえで必要な工事を整理します。
築年数が経過したビルでは、内装とあわせて外装や共用部、設備の状態も確認することがポイントです。見た目だけでなく、今後も建物を使い続けるために必要な修繕を含めて検討しましょう。
賃貸オフィスとして利用する場合は、どのような企業に入居してもらいたいかを考えてからプランを決めることもポイントです。企業規模や働き方によって、必要な席数や会議スペース、コミュニケーションスペースなどは変わります。
既存事例にも、ベンチャー企業やスタートアップ企業など、想定する入居者に合わせてコンセプトや空間を設計したビルがあります。建物の立地や特徴と、求めるテナント像をあわせて考えることが大切です。
ビルのバリューアップを考える場合は、工事を完成させることだけでなく、その後どのように使うかまで検討しておきましょう。賃貸ビルであれば、募集する企業や賃貸条件、共用部の使い方なども改修内容に関わります。
設計・施工とその後のテナント募集まで見据えて考えることで、想定する入居者に合ったビルリニューアルを計画しやすくなります。
ビルのバリューアップについては、ビルのバリューアップで育てる価値とこれからの使い方でも詳しく紹介しています。
内装だけでなく、外装やエントランス、共用部、空調、給排水、電気設備なども改修の対象になります。実際にどこまで工事するかは、建物の状態や今後の使い方によって異なります。まずは現在の状態を確認し、必要な工事を整理することが大切です。
これらの言葉は、会社やサービスによって示す工事範囲が異なる場合があります。そのため、名称だけで判断するのではなく、内装だけなのか、外装や設備、共用部まで含むのかを確認しましょう。本サイトでは、既存のビルを活かしながら機能や使い方を見直す改修を広くリノベーションとして紹介しています。
築年数が経過したビルでもリノベーションされた事例はあります。このページでも、1960年代に建てられたビルを再生した事例を紹介しています。ただし、建物の構造や劣化状況、設備、法令への適合状況などは物件ごとに異なります。工事前に建物の状態を確認しましょう。
建物全体ではなく、空室フロアだけをリノベーションした事例もあります。このページでは、1・2階をオフィスとして利用したまま、空室だった3~7階を賃貸住宅へ変更した事例を紹介しています。利用中のフロアを残しながら、空室部分の活用方法を見直すという方法もあります。
どちらが適しているかは、建物の状態や目的、必要な工事、予算などによって変わります。既存の建物を活かせる場合はリノベーションが選択肢になりますが、大規模な改修が必要な場合は建て替えを含めて比較することも必要です。費用だけでなく、今後どのようにビルを利用するかまで考えて判断しましょう。
見た目を新しくするだけでなく、建物の状態や設備、入居者の使いやすさ、募集するテナントとの相性などを確認することが大切です。賃貸ビルの場合は、改修後の入居や運用まで含めて計画することで、必要な工事を整理しやすくなります。
オフィスから住宅や店舗などへ用途を変えた事例はあります。ただし、用途変更を行う場合は、建物の現況や変更後の用途に応じて建築基準法などの確認が必要です。希望する用途へ変更できるか、計画の早い段階で建築士などの専門家に確認しましょう。