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ビルリノベーションと建築基準法改正の影響について

ここでは、リノベーションに関わる法規制のポイントや改正による実務的な影響、対応策について詳しく解説します。

リノベーション時に注意すべき建築基準法の基本ポイント

ビルリノベーションを実施する際には、建物の構造や用途変更に関する法的な規制を正しく理解しておくことが重要です。特に建築基準法に関する要件を見落とすと、計画の遅延や追加コストの発生につながる恐れがあります。ここでは、リノベーション時に押さえておくべき代表的な法的ポイントを解説します。

用途変更の確認申請

ビルリノベーションで多いのが、オフィスからホテル、倉庫から店舗などの用途変更です。建築基準法では、用途を変更する際、原則として「建築確認申請」が必要になります。

特に、用途変更後の延床面積が200m2を超える場合や、特殊建築物に該当する施設(飲食店・ホテル・病院など)へ変更する場合には、建築基準法施行令第137条の対象外となるため、申請が必須です。

参照元:国交省資料「改正後の確認・検査の見直し」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/r4kaisei_kijunhou0001.html)

耐震性能の確認と補強義務

築年数が古い建物の場合、現行の耐震基準(1981年の新耐震基準)に適合していないことが多くあります。原則として既存不適格建築物であっても使用継続は可能ですが、用途変更や大規模な模様替え・改修を伴うリノベーションを行う場合、耐震性能を確保するために補強が求められることがあります。

企業や自治体物件では、法的義務がなくても安全性確保のために耐震改修を実施する事例が増えています。

再建築不可物件の制限

接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接道)を満たしていない物件は、原則として建て替えが認められず、リノベーションによる活用が主な選択肢となります。ただし、再建築不可物件の大規模改修には確認申請が出せないケースもあり、改修の範囲が法律で制限されます。

安全性や収益性を確保するためには、法制度上可能な工事内容の範囲を事前に把握しておくことが重要です。

2025年建築基準法改正の要点と影響

2025年4月に施行される建築基準法の改正は、ビルリノベーションの計画や実施に影響を及ぼします。特に、これまで確認申請が不要だった工事にも新たに申請が必要となるなど、手続きや設計に関するルールが見直される点に注意が必要です。この章では、改正の概要と実務への影響について具体的に解説します。

「4号特例」の縮小と新たな分類

2025年4月の建築基準法改正により、これまで建築確認申請が不要だった木造2階建て等(いわゆる「4号建築物」)の審査省略制度が見直され、「新2号建築物」として確認申請が必要になります。

この改正により、今後のリノベーションでは建築確認申請の必要範囲が拡大され、従来不要だった工事にも法的手続きが求められるようになります。

参照元:国土交通省「2025年4月施行の改正概要(4号特例の縮小)」(https://www.mlit.go.jp/common/001500388.pdf)

スケルトンリノベーションや大規模修繕の規制強化

2025年の法改正後は、建物の主要構造部のうち50%以上を改修するリノベーションも、建築確認申請の対象となります。主要構造部とは、以下のような建築物の骨組みにあたる部分を指します。

  • 屋根
  • 階段

そのため、多くのスケルトンリノベーション工事が申請の対象となる可能性があり、設計・申請・審査にかかる準備期間やコストにも十分な配慮が必要です。

用途変更や断熱性能への影響

今回の法改正では、省エネ性能の向上を目的として、関連する基準が強化されます。用途変更を伴うリノベーションでは、断熱材や設備を省エネ基準に適合させる必要があるケースが増えると見込まれています。

また、居室の採光面積など、従来より厳格な基準が適用される場面もあり、特に住宅へのコンバージョンを計画している場合には注意が必要です。

影響を受ける主な工事の例

2025年の建築基準法改正により、これまで確認申請が不要だった工事の一部が、新たに申請の対象となる可能性があります。具体的にどのような工事が影響を受けるのか、代表的な事例を以下にまとめます。

工事内容 改正前 改正後
外壁の全面張替え 申請不要 確認申請が必要な場合あり
屋根の架け替え 要件により不要 構造部改修に該当すれば申請必須
フロアの用途変更(例:店舗→事務所) 一部条件で不要 延床200m2超なら原則必要
スケルトンリノベ 一部で不要 原則として確認申請が必要

改正に備える実務的な対策

建築基準法の改正によって、今後のリノベーション計画にはより慎重な対応が求められるようになります。スムーズに工事を進めるためには、制度変更を見据えた具体的な対策を講じることが重要です。ここでは、実務に直結する3つの視点から、改正への備えについて解説します。

改正前の着工を検討する

2025年4月の改正が適用されるのは「確認申請時点」ではなく「着工時点」であるため、工事内容によっては改正前に着工することで現行制度の下でリノベーションを行うことが可能です。工期や準備期間との兼ね合いになりますが、制度変更によるコスト・手続きの増加を避けたい場合は、早めの検討が有効です。

申請対応可能な業者を選定する

リノベーションを依頼する施工会社が、確認申請や省エネ基準への対応実績を持っているかを確認することも重要です。特に用途変更や構造部改修を伴う工事では、建築士による設計・申請対応がスムーズにできる体制であるかが工期・品質の安定に直結します。

会社を比較する際は、ビルリノベーションの事例や対応範囲を確認したうえで、希望する工事に必要な設計・申請体制があるかを各社へ個別に確認しましょう。

補助金制度の活用

国や自治体では、省エネ改修・耐震補強・長寿命化リフォームを対象とした補助金制度が整備されつつあります。例えば、国交省の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」や、各自治体の「耐震補強助成金」などを活用すれば、工事費用の一部を軽減することができます。

法改正に伴い増加が予想されるコストや手続き負担を軽減するためには、補助金制度を事前に調査し、適切に活用することが重要です。

参照元:長期優良住宅化リフォーム推進事業 公式サイト(建築研究所:国土交通省補助事業)(https://r06.choki-reform.com/overview/overview.html)

まとめ

2025年の建築基準法改正は、ビルリノベーションにおける設計・施工・申請業務に直接的な影響を及ぼします。今後、用途変更やスケルトンリノベーションを計画する場合には、これまで以上に法的な制約や事前準備が重要になります。

法制度を正しく理解し、早めの準備と的確なパートナー選定を行うことで、リスクを抑えつつ、計画に沿った改修を円滑に進めることができます。

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